山流し、さればこそ ★諸田玲子の本

諸田玲子さんの本です。

女性が三人出てきますが、それぞれに強い!
献身的な妻であったり、誠実さに純粋で真っすぐであったり、
妖艶で悪でありながら・・・それでも子供への愛情は命にかえてもであったり。

守るべきものがある「女」は強いのです!

山流し、左遷のことです。武士の左遷の話。
昔も今もさして変わらず、に感じました。
もしかしたら、現代に少し合わせたのか?、よくわからないところですが。

最初の方は暗いというか、救いがなくなりそう、というか。
勢いづいて読めない感じでした。今で言ういじめ、が野放し。

そんな中にも、飄々と生きている人あり、わが道を行く人あり、たすける人あり。
自暴自棄な夫を淡々と支える妻。
学問、というか目的を持つことを楽しむ術をそれとなく伝える人。
境遇に逆らわず生きてみるのもいいと、諭す人。
真っすぐな正義感の娘。
目的のためなら手段を選ばず、な悪女(今では死語?)
etc・・・。

後半は色合いもよくなり、いい場面がいっぱい。

自分でこのままではいけないと解っていながら、抜け出せなかった同僚。
囚われの身になって、ほっとしながら、話す台詞・・・いい場面でした。

どんなときでも、方向をみつけるって難しいけれど、その大切さがわかる。
突っ走るのもいいけれど、立ち止まることも意味がある。
もう遅い、はない、とかも。

作者が意図したことではないかもしれないけれど、そんなことも感じたり。

最後にのどかな文章が続く。
穏やかな日々が積み重ねられていく。
どんなに頑張っても、大切に思っても、いずれは逝なくなっていく・・・
それでも、それが今に続いてきたものなら、きっと穏やか。

「月を吐く」では、どんなに大事な人であっても、添い遂げられない切なさ、でも何所かで生きている、とわかった女性の機微、だったりしたけれど、
山流し・・・では、女性がそれぞれに想いを遂げられた、ということで、
救いのある、心穏やかになれるお話でした。


諸田さんの小説を読むと、よく感じるのは、
現代がいかに女性の恋愛に優しいか、ということ。
少し時代が違っていたら・・・・成就しない恋だらけだね。

生まれながらにして決められた枠のなかで生きる事、
他を知らなければ何の苦でもないだろうけれど、一歩外に出てしまったら、それこそ切ないことだらけ。
そのぶん、熱さ濃さが違うのかな。それはそれでいいのかも・・・。

今に生きててよかった、と思う反面、
あの時代の切なさもいいな、と・・・ないものねだり???(^_^;)
と書きながらも・・・やっぱり、私には無理ですね。「今」がいい。

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