ベーコン・・・★井上荒野

ベーコンを読みました。
短編集です。
その中に、「煮こごり」という話が。

十五夜の月は満月とは限らない。
八月十五日を「中秋の名月」としたのは、満月よりも、満月に少し欠ける月の方が美しいことを知っていたからだ。
という感じの文章があります。

主人公の晴子が思うのは、
鵜飼ほど魅力にあふれた男を知らない。しかし鵜飼にも微かな欠けがある。・・・針の先ほどの空白のようなもの。
自分が焦がれるのは、そのせいとも思えたし、
あるいは焦がれるということは、相手にそのような空白を図らずも見つけてしまうということなのかも・・・。

焦がれる。
なかなか最近使わない言葉ですが、いいな、と思いました。
なんていうのか・・・・純粋な部分が隠れている「好き」でしょうか。
自分の想いをもてあます様な好き。

空白。のぞき込みたい場所であり、近づいてはいけない場所でもあり。
誰もが補えそうで補えきれないなにか。

ふと浮かんだ、余白。
こころの空いている場所。
余裕としての隙間。
入り込む余地のある場所。
そんなのもおぼろげにあると、やっぱり焦がれてしまうのでしょうね(*^_^*)

魅力。
みるからにはっきりとしたものと、あやふやさと、
うまく合わさって、届くもの。

晴子さんの教え子で、中学生の航君がでてきますが。
子供っぽさの中に、しっかり大人の、というより「男」の感覚的優しさがでています。
いい子です(^_-)-☆

三人の女の会話を聞きながら、
「こういうときも笑うんだ」という彼の台詞。
いいとこ突いてます。
ちょっとくらいの大人じゃわらえないけれど、うんと大人になると笑えるんだな、きっと。


どの話も、
男の身勝手さを思わせます。
でもそれが嫌みにならず、逆に可愛く思えてしまう、ところがいいです。
不器用な優しさ、を感じます。

と、書いて。
私も・・・うんと大人、のほうに近づきつつあるのだな。
(*^。^*)よいのかわるいのか?


そうそう、煮こごり。
煮こごりを一緒に食べないことが鵜飼のある種の優しさだったのかな?

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック