月影

アンソロジー「捨てる」から。

捨てる行為って、哀しみが伴ったり、怖かったり・・・、気持ちが固まったり、希望が見えたり。
人が何か大切なものを「捨てる」時って、
ものすごく勇気がいる・・・気がする。


ってことで、私も
「捨てる」で書いてみました(^^)
ミステリーには程遠いものですが(笑)



月影


約束のできない明日に
無理やり約束をつくる

誰かの代わりになりたくないのに
誰かの代わりの明日をつくる

笑って別れた帰りの電車の中で
あなたの指は別の文字を追う

私のいない電車の中で
あなたの想いは空を飛ぶ

約束のできないはずの明日につくった約束は
きっとどこかで消えてしまう

わかっていても悲しくなるのは
揺れる心にあなたがいるから


あんな奴のことなんかさっさと捨ててしまいな、と
見知らぬ誰かが言ってくれるような気がして
後ろを振り返ってみるけれど

月影淡く
私の影がついてくるだけ

今にも消えそうなその影は
泣き顔を見せないように
雲を呼びよせ
呼びよせられたその雲は
慰めるように
小さくてんてんと
アスファルトに雨を降らせる




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